マイクロソフト社はビジネスツールの主要プロバイダーとして、アプリケーションやテクロジー、デバイスなど様々な分野で日々成長を続けています。その中で最も注目されているのがMicrosoft 365とOffice 365です。これまでこの2つは連携しつつも別サービスとして提供されていたが故に、利用者に多くの混乱を起こしていました。

4月21日にマイクロソフト社は、Microsoft 365とOffice365を1つのサービスとして提供していくことを発表しました。本記事では過去にMicrosoft 365とOffice365にどのような違いがあったかを取り上げ、統合によってビジネスにどんな影響があるのかを解説します。

Office 365スイート

Office 365は、Microsoft Business Productivity Online Suite(BPOS)の後継として、2011年にマイクロソフト社よりリリースされました。主な製品構成は、以前はサブスクリプションサービスを通じて利用可能だったWord、PowerPoint、Excelなどの最新のデスクトップツールの他、SharePoint Online、SkyDrive(現在はOneDrive)、Office Communicator(現在はSkype for Business)、Exchange Onlineなどのコラボレーションサービスも利用可能でした。また、Office365はMicrosoft Azureサービスとも強固に連携し、アプリケーションとサービスのクラウド管理にも優れていました。

「Office365は、マイクロソフト社が提供する生産性向上体験の中核を成すものです。しかし、ここ数年に渡り、Office365は人々が想定する“オフィス”という範囲を大きく超えて成長してきました」

端的に言えば、Office365は個人や企業が様々なデバイスからアクセスできる生産性向上に適したツールの集まりです。それは現在も変わりません。ただ、最近の製品名の変更に伴いOffice365として統合されていたものが、新しいMicrosoft365のサービスとしてみなされるように統合されました。これにより、Office365に多くの機能が追加されました。例えば、以前はHome、Business、Enterpriseに分かれていたアプリケーションが、シームレスに連携するようになり、お客様が必要とするニーズに様々な角度から対応できるようになりました。

具体的には、従業員は個人のOneNoteで自分の目標やタスクを管理しながら、会社のMicrosoft Teamsアカウントを使用して同僚と革新的なアイデアを共有することができます。Office Homeツールを使用して家族とスケジュールを共有し、iCloudを通じて家族と写真などを共有することができます。また、外出先でもYammerを使用して同僚やチームメンバーと連絡を取り続けることができ、いつでも簡単にコラボレーションが促進されます。

これまでのOffice365では、このような多様な連携や管理はとても面倒であり、複数のサブスクリプションが個人の負担にもなっていました。便利に生まれ変わったMicrosoft365を見る前に、以前のMicrosoft365がどのようなものだったのかを確認してみましょう。

以前のMicrosoft 365コレクション

2017年のMicrosoft Inspireカンファレンスで初めて発表されたMicrosoft 365パッケージは、Windows、Office、Enterprise Mobility and Security(EMS)など、主に企業のお客様向けのライセンスバンドルでした。その後、人工知能技術(AI)やストレージとアクセシビリティのためのより多くのクラウド機能などが追加され、より包括的なツールスイートに成長しました。

基本的に、Microsoft 365には、サービス対象のすべてのOffice 365とアプリが含まれ、Windows 10とEnterprise Mobility and Security(EMS)の2つの製品が追加されています。Enterprise Mobility and Security(EMS)の追加により、Microsoft 365のセキュリティが強化され、ユーザーはすべてのデバイスで会社のデータをより適切に制御できます。また、EMSを使用すると、モバイルアクセスを簡単に管理し、必要に応じて個人のデバイスからデータを消去することで、企業のデバイスが紛失したり盗まれたりしたときに、重要な作業ファイルを保護できます。

以前のMicrosoft 365バンドルの価値を否定することはできません。ただし、多くの個人顧客は、大企業のように高いセキュリティを必要としなかったものの、Officeドキュメントを安全に保ち、より高価なサブスクリプションにアップグレードすることなく、より高度なAIテクノロジーを利用できることを望んでいました。これは、マイクロソフト社がシンプルさと革新に向けて、これらの強力な力を1つの集合的なMicrosoft 365ブランドの生産性ツールに統合することを選択した理由のうちの1つです。このマージによる主な変更点を見てみましょう。

新しいMicrosoft 365

Microsoft 365の最新版には、製品名の変更や追加のサブスクリプションオプション、さらに多くのクラウドアクセス機能が含まれています。以前のOffice 365は革新的なマイクロソフトテクノロジーと組み合わされて、機能と使い勝手を向上させています。

「Word、Excel、PowerPointはかつてないほど重要になっています。しかし、Microsoft 365では、クラウドとAIの助けを借りて、これらのアプリに新しい命を吹き込み、Teams、Stream、Forms、Plannnerなどの新しいクラウドで生まれたエクスペリエンスを追加しています。」

4月21日に行われた変更により、以前のOffice 365利用者は新しいMicrosoft 365をすぐに楽しむことができます。以前のOffice 365とMicrosoft 365を組み合わせることで、すべての個人向けや企業向けのソリューションは、いくつかの追加された機能を備えることになりました。

コンテンツとクリエイティビティの強化

企業内で各種コンテンツの制作や構築に関わる部門にとって、新しいOfficeアプリケーションは生産性の向上に寄与します。また新しいAIを採用したMicrosoft Editorサービスは20以上の言語で利用でき、文章の校正や語彙の修正、文章構造の解析など、ライターにとって必要な機能を提供します。

安全なテレワーク環境の提供

現在、多くの企業がテレワークを採用しており、自宅で働く従業員も増えてきました。どこからでも業務に必要なドキュメントやツールに簡単にアクセスできるということが非常に重要になりました。Microsoft TeamsやOfficeモバイルアプリなどの高度なコラボレーションツールを使用することで、プロジェクトメンバーがどこで働いていても、セキュアな環境の下、資料の共有やオンライン会議が簡単に行えるようになりました。

さらにMicrosoft365はひとつのMicrosoftアカウントにサインインすることで、サードパーティ製の統合ツールを含めた、すべてのMicrosoftアプリケーションにアクセスできるようになります。企業としても業務上の機密情報や重要なツール類を、適宜アクセス制限をかけながら安全に運用管理を行うことが可能となります。

イノベーションのためのインサイトを得る

新しいMicrosoft365の利用者が享受できる最大の利点は、様々なアプリケーションとツールを組み合わせて利用することで新たなインサイトを得ることができるようになることです。例えばMicrosoft Formsを使用した調査やアンケートを通じて、重要顧客の情報を正確に収集できます。顧客情報や製品やサービスに関する顧客からのフィードバックを迅速に収集できれば、サービス改善や顧客満足度向上につながる手を打つこともできるでしょう。このように収集される情報は、すべてセキュアな状態でOutlook Customer Managerで管理することができます。

さらに、新しいWorkplace Analyticsを使用すれば、顧客データを元に重要なパターン分析と情報整理を行い、顧客のペルソナ像を構築し、ターゲットを絞り込んだ製品開発や、従業員の生産性向上に役立ちます。これらのアプリケーションは、複数のサインインやライセンス契約を必要とせず、同じデバイス内で連携して使用できるため、Microsoft365はシンプルな利便性と強固なセキュリティを提供してくれるでしょう。

「Microsoft 365は、Office 365、Windows 10、およびEnterprise Mobility + Securityを統合します。この知的なソリューションを通じて働く人に元気を与えることができるでしょう」

Microsoft バイスプレジデント Yusuf Mehdi氏