新しいギグ・エコノミー経済がもたらす研修の難しさ

一昔前まではひとつの企業で生涯に渡って勤め上げることが一般的でした。何年もの間、同じ会社、同じ地位にとどまっていることが多く、大きな失敗に対する不安もあまりありませんでした。しかし、時代の変化とともに新しいキャリアや職、企業を求める人たちが増え、以前に比べて従業員の定着率は格段に低くなってきています。グローバルでもこの勢いは同じで、新しい環境を求めて次から次へと職場を渡り歩く人たちは「ジョブホッピング世代」と呼ばれています。

Gallupの調査によると、29%以上の従業員が定期的に他の仕事を探しています。Harrisの調査では積極的に他の仕事を探しているわけではないものの、何かのきっかけがあれば喜んでそこに飛び込んでみたいと思う人が従業員の78%もいるとされています。彼らを動機付けているものは一体何でしょうか?

ジョブホッピング世代

ミレニアム世代には、ビジネスもしくは一般生活に関する彼らの行動特性を説明するために、色々な呼び名が使われています。仕事に関するキャリアへの考え方、もしくはそれに伴う行動特性から作られた新しい呼び名のひとつが「ジョブホッピング世代」です。この世代の人たちは職場内での急速な変化については多大な貢献を示す一方で、転職の機会さえあれば職を転々とすることに意義を見出しています。

このような人たちは、従来では企業への貢献度は低いものとされてきました。しかし彼らの事業への関与度の欠如は、彼らが仕事探しばかりをしているからというわけではありません。昨今のテクロジーの進化やワークライフバランスへの関心が高まる中で、この「ジョブホッピング世代」は新たなギグ・エコノミーとなってきています。

2020年までには、アメリカの労働力の43%がフリーランサーになるだろうと予測されています。

ギグ・エコノミー」という言葉は、2015年頃から米国のメディアで頻繁に使われるようになった用語で、インターネットを通じて仕事を受注する働き方や、それによって成り立つ経済形態のことをいいます。日本ではクラウドソーシングを通じた仕事の受発注や、Uber Eatsなどの働き方やその状態が代表例です。これらの働き方が急速に増えているのは、働く側にとって都合の良い時間、場所で自分の専門性を活かすことができるため、時間の使い方の自由度が高くなるからです。また、企業側にとっても、日本中、いや世界中の有能な専門家を外部委託としてプロジェクトに参画させることができ、社会保険などの負担を軽減させつつオフィススペースなどを確保する必要すらないという利点があります。

しかし、合理化されたこのような形態では、契約労働者やフリーランスの人たちへの適切な研修が難しくなります。従来数ヶ月かけて行ってきた従業員トレーニングなどは、1ヶ月間の限定プロジェクトで採用されたフリーランスには適用できません。

変化の早い労働環境への対応

研修の目的は、新しい従業員に会社のビジョンやミッション、組織の仕組みを紹介し、その中でそれぞれの従業員が果たすべき目的や役割を伝えることです。今後、採用プロセスの中ではこれらのスピードアップが求められ、素早く企業文化や自社の仕組みを伝え、従業員が地に足をつけて仕事に取り組む環境を構築する必要に迫られています。特に2週間限定で採用される従業員へのトレーニングにおいては、このスピードがもっとも重要となります。

つまり、企業にとって重要視しなければいけないのは、伝えるべき組織や事業の情報を、可能な限り迅速に適切に従業員に伝えていくことです。今後、フリーランサーがプロジェクトに参画する際には、契約開始前には会社の基本状況や依頼する仕事とその周辺情報を可能な限り迅速に、かつ適切に伝えた上で、契約に合意することになります。これが、そのプロジェクトの成否に大きく影響することは言うまでもないでしょう。

もし、このようなスピード性のある研修制度がない企業では、フリーランスなどの短期契約の従業員を採用した際に、セキュリティやコンプライアンス違反、プロジェクトの望まぬ結果、プロジェクト途中での離職などのリスクが格段に高くなるでしょう。

有能なフリーランスや専門家をプロジェクトに参画させ、その能力をいかんなく発揮してもらい、プロジェクトを成功に導く秘訣は、この研修プロセスの自動化にあります。

効果的な研修を簡単に実施するには

すでにデジタルワークプレイスの重要性については何度も語られていますが、従業員がいつでもどこからでも会社のリソースにアクセスできるようにすることで、業務の効率化や生産性向上に大きく寄与してきました。実はこれは、研修の自動化にあたっては必須条件となります。新しく採用した短期契約従業員が研修情報にいつでもどこからでもアクセスできることの有用性は言うまでもありません。

LMS365のような学習管理システム(LMS)を利用して、研修プログラムを自動化および合理化することで、従業員は機敏で効果的、かつ長期的に成長する機会を得ることができます。

  • データの安全性
    まず第一に、ギグ・エコノミー環境で事業を行う企業は、特定の労働者にのみアクセスを許可するLMSを利用することで、セキュリティリスクを回避することができます。フリーランサーなどには必要な情報のみにアクセスできるようにし、より機密性の高い企業情報にはアクセスさせないという配慮が必要です。当然このようなセキュリティ措置はボタンクリックだけで簡単に設定できるようにする必要があり、契約が完了したフリーランサーは、素早くこの情報からアクセスが遮断されます。
  • 能力に合わせる
    研修が自動化されることで、企業としてはフリーランサーの学習進捗状況を常に把握できます。短期間のプロジェクトでは1日の無駄が大きな影響を及ぼす可能性があります。従業員に適切なマイルストーンを提示し、学習チェックポイントを組み込み、適切なコミュニケーションチャネルを用意することで、研修プロセスで発生した問題を素早く発見することができます。
  • エンゲージメントとコラボレーションの強化
    プロジェクトに参画している常駐の従業員と外部の専門家やフリーランスとのコラボレーションを推進するためには、LMS環境はクラウド化されていることが必要です。Microsoft Teamsを介して利用できるオンラインチャットやファイル共有を活用することで、従業員は必要な場所で必要な情報を入手できるだけでなく、組織との一体感を感じてエンゲージメントが高まります。
  • オンライン教育の強化
    さらに一歩進めると、企業はフリーランスが契約を締結する準備を整えたり、プロジェクトや組織に関する有益な情報をLMS内でフィードバックすることもできます。LMSを利用してこれらを自動化することで、ギグ・エコノミー内で効果的な従業員の関与を引き出します。

ジョブホッピング世代はギグ・エコノミー経済の主要な存在となっています。より柔軟性を求める従業員と多様化を求める企業にとって、この状況を理解、把握し、活用していくことは双方に多大な利益をもたらすことでしょう。

LMSの持つ自動化の仕組みによって、セキュリティで保護されつつ合理的な研修プロセスを構築することは、企業にとってデジタルワークプレイスを強化すること、短期プロジェクトで多様な人材を受けれることに繋がり、国際競争力を高めていくことができるでしょう。

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