現在多くの企業や学校でeラーニングが導入されていますが、eラーニングはただ導入するだけで成功できるとは言えません。
本記事ではeラーニングシステムを効果的に運用し、本来の目的を成功させるためのポイントや運用方法などについて解説しています。
eラーニングを導入しているもののいまいち成果が上がっていない企業や、これからeラーニングを導入しようと考えている方は是非参考にしてみてください。
eラーニングシステムの運用とは?
eラーニングとは、主にインターネットを利用したオンライン学習のことを指します。
従来のeラーニングには課題があり、その課題を解決すべくeラーニングシステムが開発されました。
これまでのeラーニングと課題
これまでのeラーニングは教材を配付する機能のみが中心で、受講者と管理者でコミュニケーションを取ったり、受講者の学習状況を把握したりする機能は搭載されていませんでした。そのため、受講者は自身の学習進捗度を把握することが難しく、また自分の理解がどの程度かを数値化して客観的に知ることが容易にできておりませんでした。
また、学習教材としてCDやDVDを配付することも多くありましたが、紛失して情報漏洩に繋がるというリスクも問題として挙げられていました。
eラーニングシステムは”運用”する必要がある
従来のeラーニングに関する問題を解決するために、eラーニングシステム(LMS)が開発され導入が進められています。一方で、eラーニングシステムはただ導入すれば良いというわけではなく、正しく運用する必要があります。
eラーニングを最大限活用するために、eラーニングシステムを導入し、受講者の管理や教材の管理をすることが大切となります。受講者の管理をすることで効果的に学習を提供でき、また受講者自身もモチベーションを維持しながら学習を効率的に進めることが可能です。
また、eラーニングシステムでは受講者の声や最新の状況などをスピーディーに教材に反映させることも重要です。すぐに反映させることで、学習の効率性を上げられたり、周知したい新しいマニュアル等を速やかに実務に移行したりすることが可能になります。
このように、eラーニングを実施するということは、受講者のフォローをしたり、教材コンテンツを改善したりというように、常に「運用」が必要であるといえます。
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eラーニングシステムを運用するメリット
eラーニングシステムを運用すると管理者・受講者ともに得られるメリットが多数あります。
eラーニングシステムの導入に「費用がかかるだけでは?」「そこまで運用前と変わらないのでは?」と感じている人はしっかりチェックしておきましょう。
管理者側のメリット
管理者側が得られるメリットは次のような点があげられます。
- 最新教材の配信が素早く行える
- オリジナルな教材を準備できる
- 受講者ごとの学習進捗が把握できる
- 受講者のスキル別に指導や進行が可能
- 一斉連絡やアンケート配布などの手間を削減
- 場所代や講師の人件費がかからないためコスト削減
eラーニングシステムは受講者がどこまで学習できているのかを簡単に把握できデータも一括管理できるため、受講者ごとのデータを1人分ずつ手動で入力する必要はありません。
例えば、今までエクセルにデータを入力していた場合、エクセルに対応しているeラーニングシステムを利用すれば、今まで手動で入力していた作業が必要なくなり、社内のリソースにも余裕が出るでしょう。
また、マルチデバイスで動画を視聴できるシステムなら受講者が自身のデバイスでいつでもどこでも学習でき、企業や学校側が場所や学習用のデバイスを手配する必要もなくなります。そのため、コスト削減にも繋げられます。
受講者側のメリット
受講者側が得られるメリットは次のような点があげられます。
- 場所・時間に縛られず学習ができる
- 自身のPC・スマートフォン・タブレットで学習可能
- 受講した内容や履歴を把握しやすい
- 正確な学習進捗を管理者へ伝えられる
- 適切なフィードバックを受けやすい
- 繰り返して学習することも可能
マルチデバイス対応のeラーニングシステムを運用すれば、企業や学校のPC以外からもアクセスできるため、いつでも・どこからでも動画の視聴が可能で学習を進められます。
また、受講した内容や履歴を自身で把握しやすく管理者側も進捗をチェックできるため、どこでつまづいているのかがわかりやすく適切なフィードバックを受けやすいです。管理者・受講者がお互いに同じ情報を共有することでわからない点や学習進捗内容を伝える手間が減り、効率的な学習が行えます。
eラーニングシステムの運用を成功させる4つのポイント
eラーニングシステムでは、受講者の状況を管理し、教材をアップデートする運用が必要と紹介しました。本章では、具体的に運用を成功させるポイントを4つ解説していきます。
運用ポイント1:学習目的を明確にする
まず最初のポイントは、学習目的を明確にするということです。eラーニングシステムを運用する際は、何のためにこの学習をするのか、学習することで受講者にどのようなスキルを獲得してほしいのかを明確にしましょう。
もしも受講者に何を学習してほしいのかが曖昧なままだと、eラーニングシステムを導入すること自体が目的となってしまい、本来eラーニングを通して獲得すべきであった成果が得られなくなってしまいます。
eラーニングシステムを運用する際には、あらかじめ導入の目的を明確にし、対象とする受講者の役職や適性に合った学習を提供できるように教材の準備や計画を作成していくことが重要です。
運用ポイント2:受講者の意見に合わせる
2つ目のポイントは、受講者の意見に合わせて教材を適宜見直していくことです。 eラーニングシステムで提供する教材は、一度作成したら完了ではありません。
eラーニングは導入することが目的ではなく、受講者に教材の内容を理解してもらい、その後の業務等に役立ててもらうことが重要です。
例えば教材が分かりづらかったり難易度が高すぎたりすると、受講者は理解が足りないまま学習を進めてしまい、求められているレベルのスキルや知識を取得することができません。
その他にも、受講者が学習に充てる時間についても配慮する必要があります。業務の合間の時間で学習する人が多い場合には、コンテンツ時間を短くすることが必要になるでしょう。
反対に、新入社員研修等のまとまった時間を確保して学習を実施する場合には、あまり細切れにし過ぎずにまとまった教材を提供する方が良い可能性があります。
eラーニング導入後には受講者の意見にも耳を傾け、必要に応じて教材を修正していかなくてはなりません。アンケート機能などを活用し、受講者の声を積極的に収集できるように運用していきましょう。
参考:【2023年】最新eラーニングシステムの5つの特徴とは?製品を徹底比較
運用ポイント3:学習環境を整える
受講者の学習環境を整えることも重要です。
例えば、アクセス環境を整備し社内PC以外の個人の端末(PCやスマートフォン)でも学習できるようにすることで、学習が促進されます。
また、eラーニングシステムの管理者側においても、どのメンバーがどれくらいの頻度で教材や受講者の確認を行うのか、運用体制をしっかり構築しておくことが重要です。運用体制を明確にマニュアルに落とし込むことで、受講者はストレスなく学習を進めることが可能になります。
運用ポイント4:受講者のフォローを行う
受講者の学習状況に合わせて、個別コンテンツの準備や、個別メッセージを送信する等のフォロー対応が重要です。
受講者と管理者でコミュニケーションがとりやすい環境を整備することで、受講者のモチベーションアップに繋がるだけでなく、考えや悩みの共有や、学習効果の向上も期待することができます。
受講者のフォローを適切に行うことで、よりeラーニング導入の目的達成に近づけることができるため、eラーニング運用時は必ず受講者とのコミュニケーションを徹底しましょう。
eラーニングシステムの運用方法
eラーニングシステムを効果的に運用し、成功させるためのポイントを解説しました。ここからは具体的な運用方法についてステップごとに解説していきます。
運用ステップ1:学習目的に必要なプロセスを考える
まず最初のステップは学習目的に必要なプロセスを考えることです。目的を達成するにはどのようなコンテンツとプロセスが必要になるか検討しましょう。
例えば、最終的に人事業務のスペシャリストを育成したいという目的があるとします。はじめに、人事業務をマネジメントするための要件をまとめるとともに、実務における技能を測定できるように数値化します。学習に取り入れる「要件」と測定可能な「指標」を明確にした上で必要となる学習教材の全体像を作成していきます。
全体像を明確にしたら、受講者が学習目的を達成するまでのプロセスを検討していきます。いつ、誰が、どのコンテンツを学習し、どの程度の学習成果を達成するのかを計画として明確にしておきましょう。
運用ステップ2:必要なコンテンツを準備する
全体的な計画やプロセスを明確にした後は、必要なコンテンツを準備しましょう。管理者が学んでほしい学習項目だけでなく、受講者に求められている情報や項目についても取り入れるようにしましょう。
教材を作成する際は、受講者の学習ニーズに沿っているかどうか常に確認しておきましょう。より学習効果を高めるためには、受講者からみて分かりやすい、興味を引く内容が求められます。
受講者に応じて教材の長さを調整したり、動画教材の割合を増やしたりするなど、受講者の状況に合わせて工夫することを心がけましょう。
受講後にテストやアンケートを実施することで、教材の課題を抽出でき、改善につなげることができるため積極的に活用していきましょう。
運用ステップ3:受講者の学習を始める
コンテンツの準備ができたら、実際に受講者へ学習教材を提供します。学習のスタートと同時に管理者は受講者の学習進捗状況を管理することが重要です。
また、学習することを受講者任せにしてはいけません。受講期限を設けたり、受講していない人に対して受講を催促したりすることが必要です。その際は、受講者が自ら進んで受講するような工夫を加え、主体的に受講するように働きかけていきましょう。
主体的に受講させることでより効率的に学習効果を高めることができるでしょう。
運用ステップ4:効果の分析と改善を行う
最後のステップは効果の分析と、そこで得られた情報を元にした改善です。
受講者の学習状況やアンケートなどによって効果の把握や分析を行い、状況に合わせて運用方法を改善することが必要です。
学習状況の分析では教材コンテンツや部署によって進捗に差が無いかどうかを確認しましょう。特定の受講者や教材に問題が見られる場合、個別のヒアリングやアンケート機能等を用いて改善につなげることができるか検討しましょう。アンケートで得られる情報は貴重ですので、確認したい項目をきちんと洗い出し、アンケートの設問に取り入れましょう。
このように解析と改善を繰り返して、教材や運用方法をブラッシュアップしていくことが重要になります。
eラーニングシステムを運用する際の注意点
本章では、eラーニングシステムを運用する際の注意点について解説していきます。
eラーニングが万能でないことを理解しておく
eラーニングが万能ではないことを理解しておきましょう。eラーニングを導入すれば、知識とスキルを受講者全員に定着させることができるといった、過度な期待を持つことは避けた方がよいでしょう。
実務で役に立つスキルを身につけるためには、eラーニングだけでなくオフラインでの集合研修や実技試験等も必要になる場合があります。
eラーニングのみを活用して導入目的を達成しようとするのではなく、様々な方法を柔軟に取り入れて学習効果を最大化できるように心がけましょう。
学習を受講者に任せ切りにしない
eラーニングでの学習提供をスタートしても、実際にはなかなか受講率が伸びないことも考えられます。eラーニングはいつでも受講できるというメリットがある反面、受講の優先度が下がってしまうリスクも抱えているためです。
受講者にしっかりと定期的かつ計画的に学習させるには、受講者の管理とフォローが重要となります。学習を受講者に任せきりにするのでは無く、定期的にリマインドをするなどして受講者の学習を促しましょう。
eラーニングシステムを導入したことに満足しない
eラーニングシステムの導入は、ゴールではなく目的を達成するための手段です。
そのため、eラーニングシステムを導入したことに満足せず、継続的に受講者のフォローや改善を進めていく必要があります。本記事で紹介したポイントやステップを取り入れて、導入目的を達成できるように適切に運用を進めていきましょう。
eラーニングシステムの効果を最大化する運用方法を考えよう
eラーニングを導入することで、効果的かつ効率的に学習をすすめることができるようになりました。しかし、eラーニングを導入しただけでは学習効果を高めることは難しいでしょう。
eラーニングシステムの機能を活用し、適切に運用・改善を進めていくことが重要です。
本記事のまとめは以下になります。
- eラーニングは運用することで高い学習効果を得られる
- テストやアンケート機能を活用して、常に教材や運用体制の改善を進めることが重要
- eラーニングが万能ではないことを理解しておく
本記事で紹介したポイントをおさえ、正しく運用することで学習効果を高めることができますので、導入の際はぜひ参考にしてみてください。
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