本記事ではゲームの要素や仕組みを学習やビジネスに取り入れる「ゲーミフィケーション」について解説しています。近年教育やビジネス分野で活用されており、導入した学校や企業では実積もでています。
- ゲーミフィケーションの意味
- ゲーミフィケーションで重要な要素
- ゲーミフィケーションのメリット
- ゲーミフィケーションの注意点
上記のポイントについて詳しく解説しています。
ゲーミフィケーションを取り入れようと考えている方はぜひ本記事を参考にしてください。
ゲーミフィケーションとは?
本章ではゲーミフィケーションの概要について解説します。
- ゲーミフィケーションの意味
- ゲーミフィケーションが普及した理由
- ゲーミフィケーションが活用されている場
ゲーミフィケーションの意味
ゲーミフィケーションとは、ゲーム以外の様々な分野にゲームの要素を取り込むことで、ゲーム化するという意味の「Gamify(ゲーミフィ)」が語源となっています。自社の業務やサービスにゲームの要素を取り入れることで、意欲の向上やロイヤルティを高めることができます。
様々な学習やサービスに活用することができるゲーミフィケーションですが、導入は単にゲーム要素を取り入れるだけでは意味がありません。ゲーム化することが目的ではなく、受講者や利用者に意欲を持って継続的に取り組んでもらうことを目的として設計することが重要です。
ゲーミフィケーションが普及した理由
ゲーミフィケーションが普及した理由は、スマートフォンが急速に普及したためと言えるでしょう。
現在では、ほとんどの人がスマートフォンを活用しており、時間や場所にとらわれることなく情報の検索や動画の視聴を行なっています。ユーザーがインターネット上のコンテンツに触れやすくなったため、ゲーミフィケーションを取り入れたアプリケーションも開発されはじめるようになったと言えます。
また、eラーニングにおけるゲーミフィケーションが普及した理由としては、LMSの普及も関係しています。LMSを導入することで容易に教材を作成/修正したり、受講者を管理したりすることができるようになったため、学習にもゲーミフィケーションを取り入れやすくなりました。
参考記事:LMS(学習管理システム)とは?意味や種類、選ぶ際のポイントを解説
ゲーミフィケーションが活用されている場
様々な場に取り入れることができるゲーミフィケーションですが、主に活用されている場は教育とビジネスの場となっています。
教育にゲーミフィケーションを取り入れることで、受講者は学習に対してモチベーションを保ちやすくなります。競争の要素やゲームをクリアすることの達成感をうまく教材に組み込むことで、受講者の学習への苦手意識や抵抗感を軽減し、熱中して取り組ませることができます。
例えば、ランキング形式のゲーミフィケーションを導入することで、社員同士の競争意識を高めることができます。上位の社員を表彰するなど「報酬」を適切に設定することで、モチベーションを維持することができるでしょう。
関連記事:社員のモチベーションを高める研修とは?目的や流れ、LMSを活用する方法を紹介
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ゲーミフィケーションで重要な5つの要素
ゲーミフィケーションを取り入れる際に理解しておくべき重要な要素があります。
正しくゲームを進めてもらい、成果につなげるためにも次の5つの要素を理解しておきましょう。
- 要素①:目的
- 要素②:クエスト
- 要素③:報酬
- 要素④:可視化
- 要素⑤:交流
この章では、1つ1つの要素について解説します。
要素①:目的
重要な要素の1つ目は、目的です。
ゲーミフィケーションに限らず、目的がないところにモチベーションは生まれませんので、必ず目的を明確にすることが大切です。
RPGやストーリーのあるゲームをプレイした経験のある方はイメージしやすいのではないでしょうか?魔王を倒す、お宝を見つける、脱出する等、目的が明確になっているゲームがほとんどです。
まず、ゲームのように最終到達点を明確にし、何をどうすれば達成したか判断できる目的を設定するようにしましょう。
要素②:クエスト
重要な要素の2つ目は、クエストです。
目的が決定したら、目的を達成するための行動をとってもらうためのクエストを検討します。目標を達成するための下位目標とも言い換えることができます。
ゲームでは最終目的を達成するために、レベルアップをしたり、アイテムを集めたりする必要がありますが、ゲーミフィケーションを取り入れる場合でも同様です。ユーザーのモチベーションを継続させるためにも、最終目的を達成するまでにクリアすべきクエストや課題を明確にし、適切なタイミングで取り組ませることが重要です。
クエストを作成する際のポイントは、最初は受講者がクリアしやすい簡単なものを設定することです。段階的にクリアが難しいクエストを設定することで、ユーザーはモチベーションを損なうことなく、意欲を持って取り組むことができます。
要素③:報酬
重要な要素の3つ目は、報酬です。
ゲーミフィケーションを取り入れる際は、クエストを継続してクリアさせるために報酬を用意しておく必要があります。報酬を用意することで、クリアが難しいクエストでもユーザーは高いモチベーションを持って取り組むことができるでしょう。
また、受講者のモチベーションを維持させるためには、事前にクエスト別の難易度と得られる報酬を明確に伝えておくことが大切です。難易度の高いクエストに挑戦することで得られる報酬が高くなることがわかっていると、目の前のクエストだけでなく長期的にクエストに取り組むモチベーションを持たせることが可能です。
要素④:可視化
重要な要素の4つ目は、可視化です。
ゲーミフィケーションでは、学習しているクエストに対して現状自分自身がどの位置にいるのかを判断できるような可視化が必要です。
例えば、点数化やランキング化を行うことで、自身の相対的な評価や目標とすべき対象を可視化することができるでしょう。
ユーザーのモチベーションをより高く維持するためには機械的な点数化だけでなく、アドバイスのコメントやフィードバックなども実施すると、さらなる意欲の向上に繋がるでしょう。
要素⑤:交流
重要な要素の5つ目は交流です。
同じ目的を持つ仲間と交流できる環境があることで、仲間意識を高めたり難しいクエストに協力して取り組んだりすることができるでしょう。仲間と協力してクリアすることで、モチベーションの向上も期待できます。
他にも目的が同じ仲間とゴールに向けて競い合わせることで、競争意識を持たせることもできます。また、仲間と進捗度合いを比較し、自分自身の成長を実感することができるので、ゲーミフィケーションにおいて交流できる環境は重要な要素であると言えます。
ゲーミフィケーションを導入する3つのメリット
この章では、ゲーミフィケーションを導入するメリットについて解説します。
- 目的達成までのプロセスが明確になる
- モチベーションの維持がしやすい
- 目的達成と成長の効率化
上記のメリットを理解し、ゲーミフィケーションの効果をしっかりと得られるようにしましょう。
メリット①:目的達成までのプロセスが明確になる
1つ目のメリットは、目的達成までのプロセスが明確になることです。
ゲーミフィケーションを取り入れる際は、最終目的を明確にし、その目的を達成するためのクエスト(下位目的)も明確にする必要があります。そのため適切にゲーミフィケーションが取り入れられたサービスや教材では、ユーザーは常に目的を見失わずに作業を継続することができます。
最終目的とクエストが明確に整理されていると、ユーザーはクエストをクリアするごとに徐々にゴールに近づいていることを実感し、最後までモチベーションを維持して取り組むことができるでしょう。
メリット②:モチベーションの維持がしやすい
2つ目のメリットは、モチベーションの維持がしやすいことです。
ゲーミフィケーション導入の際は、モチベーションを維持するための報酬や可視化等のゲーム要素を取り入れますので、ユーザーは楽しみながら課題に取り組むことができます。
その他にもユーザー同士の協力や競争を生じさせることで、人との交流が生まれ、一人でやるよりもモチベーションを維持することが容易になります。
メリット③:目的達成と成長の効率化
3つ目のメリットは、目的達成と成長の効率化が図れることです。
ゲーミフィケーションには、目的達成までのプロセスを明確にしやすい点とモチベーションを維持しやすい点においてメリットがあるとお伝えしました。
上記のメリットを最大限活かすことにより、効率的に目的達成や成長を促すことができる点がゲーミフィケーションにおける最大のメリットと言えるでしょう。
ゲーミフィケーションを導入する場合の注意点
ゲーミフィケーションは取り入れることで様々なメリットを得ることができますが、導入時の注意点もあります。
本章では下記の注意点について解説します。
- クエストの設定が難しい
- 導入直後は混乱が起こりやすい
- 適切に要素を設定しないとモチベーション低下を招く
注意点①:クエストの設定が難しい
1つ目の注意点は、クエストの設定が難しいことです。
クエストに挑戦するユーザーレベルは様々であるため、全体のバランスを考えた難易度を設定する必要があります。ユーザーレベルに適していない難易度のクエストを設定した場合、挑戦を諦める可能性があるため、慎重に検討して設定しましょう。
参加するユーザーを事前にレベル別に分類できる場合は、「初級者向け」や「上級者向け」等、難易度別にサービス・教材を提供しても良いでしょう。
参加するユーザーのレベルがバラバラになってしまう場合は、まず全員がクリアできるクエストを最初に用意したり、上級者が知っている項目をスキップできるように設定したりすることで、ユーザーは適切な難易度からクエストを開始することができます。
注意点②:導入直後は混乱が起こりやすい
2つ目の注意点は、導入直後は混乱が起こりやすいことです。
企業においてゲーミフィケーションを取り入れた場合、従来の手法とのギャップに混乱してしまう社員も出てくる可能性があります。
例えば、営業において一連の流れで研修を行っていた企業がゲーミフィケーションを導入し、「アポイントの取り方」や「プレゼンのやり方」等、クエストをフェーズごとに分けたとします。従来の研修方法で何年も指導してきた社員にとっては、非効率と感じる部分もあるかもしれませんし、反発される可能性もあります。
従来の方法から新しい方法に変える際はどうしても混乱は起きてしまいますので、全体の効率性が向上することや導入によって想定される成果についてきちんと明示し、ゲーミフィケーションの導入に対して理解を得ることが大切です。
注意点③:適切に要素を設定しないとモチベーション低下を招く
3つ目の注意点は、適切に要素を設定しないとモチベーション低下を招く恐れがある点です。
ビジネスや教育の場でゲーミフィケーションを導入しても、ゲーム要素がユーザーにとって面白いものでないと、反対にモチベーションを下げてしまいますので注意が必要です。
クエストの難しさや報酬の量など常に適切に設定されているか、確認し適宜修正を行うようにしましょう。
LMSを活用し、ゲーミフィケーションを取り入れた学習教材を提供する場合は、教材を自由に修正・追加できるだけでなく、受講者にアンケートを実施して教材に対するフィードバックを得ることができます。アンケートの内容を真摯に受け止め、適切な教材となるように常に改善していくことが重要です。
ゲーミフィケーションについて詳しく知ろう
本記事ではゲーミフィケーションについて解説しました。
本記事のまとめは以下です。
- ゲーミフィケーションとはゲーム以外の様々な分野にゲームの要素を取り込むこと
- ゲーミフィケーションを取り入れることでモチベーションの維持向上が期待できる
- 目的達成までのプロセスを明確にすることが可能
- ゲーミフィケーションを取り入れる際はゲーム要素を適切に設定することが大切
ゲーミフィケーションを取り入れることで、ユーザーのモチベーションを高め、効率的に学習を進めさせることが可能です。
一方で、適切に要素を設定しなければモチベーションを低下させてしまう可能性がありますので、本記事を参考に目的や報酬等の重要な要素を明確にしてゲーミフィケーションを取り入れるようにしましょう。
また、eラーニングの教材にゲーミフィケーションを取り入れる際は、教材の修正や受講者の管理を容易にできるLMSの導入が必須と言えます。Learn365(旧LMS365)にはクイズ機能や学習状況を可視化できるダッシュボード機能などゲーミフィケーションに適した機能が搭載されています。
参考記事:LMSの主な機能一覧【選び方のポイントや導入時の注意点も解説】
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