自社に学習管理システムを導入するなら、LMSとeラーニングの違いについて理解しておく必要があります。
そこでこの記事では、以下の内容を解説します。
- eラーニングとLMSの違い
- eラーニングの課題とLMSで解決できること
- LMSのメリット
- LMSの導入形態
- 導入前にしておくべきこと
人材育成を効率的かつ効果的に行うためにも、LMSについて正しく理解しましょう。
eラーニングとLMSの違いとは?
eラーニングとは「electronic learning」の略であり、インターネットを介して提供されるオンライン学習ツールのことです。企業の人材育成や組織の課題解決ツールとしても広く利用されています。
インターネット環境が整っていれば、受講場所や時間に縛られることなく、仕事の合間や出先のスキマ時間を有効活用して学習することが可能です。
一方、LMSとは、eラーニングの学習プロセスを効率化するための管理システムを指します。LMSには以下のような機能が備わっています。
- 学習管理機能
- 教材管理機能
学習管理機能では、受講者の進捗や学習レベルを追跡し、適切なフィードバックを提供することが可能です。これにより、学習効果を最大化するサポートを行います。教材管理機能では、企業独自の形式で教材を導入・管理し、柔軟に学習コンテンツを提供することができます。
LMSと同義の「eラーニングシステム」という用語もありますが、両者は基本的に同じ意味を持ち、どちらもeラーニング学習を効果的に管理・運営するためのシステムを指します。
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eラーニングには課題点があった
これまでのeラーニングには以下のような課題点がありました。
- 組織的な学習にならない
- 受講状況の確認が難しい
組織的学習にならない
従来のeラーニングは、主に教材ファイルにアクセスしてテキストを閲覧する形式の配布型学習であり、以下のような課題がありました。
- 受講者のモチベーション維持が難しい
- コミュニケーションが取りづらい
配布型教材は受動的な学習方法であるため、受講者のモチベーションを維持することが困難でした。また、コミュニケーション機能が不足しているため、リアルタイムで疑問を解決できず、相談相手を見つけることも難しいという問題がありました。
社員は個々に業務の合間に自主学習に取り組まなければならず、その結果、孤独な戦いとなりがちでした。
このように、配布型教材を用いた学習には様々な課題が存在していました。
受講状況の確認が難しい
従来のeラーニングには、受講状況の確認が難しいという課題もありました。具体的には、以下の2点です。
- 進捗状況や学習レベルの把握ができない
- 学習ニーズを把握するシステムがない
受講者の進捗状況や学習レベルを把握できないため、導入後の効果を実感しにくいという問題がありました。また、受講者からのフィードバックを得るシステムがないため、教材の問題点を抽出し、改善策を検討することが難しい状況でした。これにより、eラーニングは学習ツールとしてまだ多くの課題を抱えていました。
LMSはeラーニングの課題を解決できる
本章では、eラーニングがこれまでに抱えていた課題を、LMS導入によって解決できることを、以下の4つの視点から解説します。
- 教材の管理
- 学習状況の管理
- 受講環境
- コミュニケーション機能
上記の機能は導入するLMSによっては搭載されていない場合がありますので注意しましょう。導入前にサービス内容をしっかりと確認しておくことをおすすめします。
おすすめのLMSについてはこちらで比較しておりますので合わせてご覧ください。
【2022年最新】おすすめLMS(学習管理システム)比較10選を紹介
教材の管理
LMSには教材の管理機能があります。これにより、テキストやPDF、動画、Webセミナーなど、様々な形式で教材を配布することが可能です。
さらに、サービス提供会社によっては教材作成のサポートを行っている場合もあります。既存の教材では学習ニーズを満たせない場合、自社オリジナルの教材を作成することで、より効果的な学習を促進できます。
また、CDやDVDとは異なり、一度作成して公開した教材でも、新しい情報を追加したり、古い情報を更新したりすることができるため、常に受講者に最新かつ最適な教材を提供することが可能です。これにより、学習内容の鮮度を保ち、受講者の理解度を高めることができます。
学習状況の管理
LMSには、学習状況の管理機能も備わっています。これにより、受講者の学習履歴や進捗状況をリアルタイムで把握し、テストの点数を集計・分析することが可能です。これにより、受講者の学習意欲や到達度を簡単に把握できるようになりました。
また、これらの機能を応用することで、人事評価の指標としても活用できます。さらに、アンケート機能を利用することで、進捗状況やテストの点数では測れない課題や悩みを受講者から抽出し、学習管理の改善や個々に適した学習コンテンツの作成も可能です。
このように、LMSは教材の管理だけでなく、受講者ごとの状況を考慮した学習管理ができる点も魅力です。これにより、より効果的でパーソナライズされた学習体験を提供することができます。
受講環境
自由に受講環境を選べるようになった点もLMSの魅力です。
インターネット接続のできるパソコンやスマートフォンなどの端末があれば、場所や時間に縛られることなく受講することができます。ただし、すべてのLMSが各種モバイル端末に対応しているわけではないため、注意が必要です。
三上 晃潤
コミュニケーション機能
コミュニケーション機能により、受講者のモチベーションや理解度を把握しやすくなりました。
コミュニケーションに関する具体的な機能は、以下の通りです。
- アンケート機能
- チャット機能
- ライブ配信機能
これら機能により、相互にコミュニケーションを取りながら学習を進められるようになりました。
例えば、アンケート機能を利用することで受講者のニーズの深堀や課題の抽出・改善を行うことができます。チャットやライブ配信機能ではリアルタイムで質問やフィードバックを行うことができ、受講者の理解を促すことに繋がります。
LMSの導入により、これまでの一方向的な学習から、相互にコミュニケーションを取りながら進める学習が実現したと言えます。
LMSのメリットとは?
LMSは導入することで、受講者・講師・管理者にとってさまざまなメリットが得られます。それぞれが感じやすいLMSの良い点を詳しく見ていきましょう。
受講者側のメリット
受講者側が感じやすい主なメリットは次の3点です。
- 自身のペースで学習を進められる
- 学習する範囲がわかりやすい
- 学習の進捗やテストによって学習の定着度合いがわかる
学習はオンラインで行うため、受講者は自身のペースで学習を進めることができます。
通信環境があれば、通勤時や移動時間を活用して学習を行うことができます。
また、受講者が学習すべき教材・コースは管理側が指定することができるため、受講者は迷うことなく自身が行うべき学習教材を選択することができます。
学習の進み具合や試験結果を目で見て確認することもできるため、やる気や学力アップへも繋がりやすくなります。
講師・教育担当者側のメリット
LMSでは受講者の学習進捗やテスト結果などを数値化できるため、講師は受講者ごとにヒアリングしたりデータをまとめたりする必要はありません。
受講者の苦手分野は学習状況のデータから把握することができるため、能動的に受講者側から質問が無い場合でも講師側からアドバイスや補足をすることが可能です。
コミュニケーション機能が充実したLMSでは、個別のチャットを活用することで1対1のやり取りができるため、細かい指導が可能です。
添削時間やヒアリング時間を軽減することでリソースを増やし、個別相談や傾向分析など他の業務に注力できるのも魅力の1つです。
管理者側のメリット
LMSを導入するにあたって管理者側が得られるメリットは、大きく分けて2つあります。
1つは、学習効果の分析です。LMSでは、受講者の進捗状況やテスト結果などをデータとして蓄積・分析することができます。これらのデータを活用することで、学習の成果を客観的に評価し、研修内容や方法の改善施策を経験値として積み重ねていくことができます。
2つ目は、人的リスクの低減です。LMSを活用することで、コンプライアンス研修や安全衛生研修など、人材育成に欠かせない研修を効率的に実施することができます。
このように、LMSを導入することで、管理者は学習効果の向上や人的リスクの低減など、さまざまなメリットを得ることができます。
LMSの導入形態
LMSの導入形態には、以下の2つがあります。
- オンプレミス型
- クラウド型
各特徴を理解し、自社に最適な導入形態を選べるようになりましょう。
関連記事:【LMS】クラウド型とオンプレミス型のメリット・デメリットを比較
オンプレミス型
オンプレミス型とは、自社サーバーに LMSをインストールもしくは構築する導入形態です。
サーバーやインターネット環境などのインフラ整備に加えて、システムの構築に時間がかかります。一方、操作性や機能などを柔軟にカスタマイズでき、自社に最適化された学習システムを構築できるというメリットがあります。
システムを構築するための初期費用が高く、管理・メンテナンスの人員が必要になりますが、ランニングコストを抑えつつ、自社に適したLMSを使用することができるため、長期的に運用を見据えている場合におすすめの導入形態です。
クラウド型
クラウド型とは、サービス提供会社がすでに構築したLMSをインターネット経由で利用する導入形態です。
システムの構築が不要であるため、初期費用を抑えることができます。また管理・メンテナンスはサービス提供会社が一括で行うため、システムの運用に人員を割くことができない企業でも導入しやすいというメリットがあります。
クラウド型の料金体系は、主に月額固定制と従量課金制の2種類があります。利用者数(ID数)が多い場合は月額固定制、利用者数が限られている場合は従量課金制等、状況に応じて適した料金体系を選択することが重要になります。
LMSの料金についてはこちらの記事でも解説しておりますので、合わせてご覧ください。
LMS(学習管理システム)の費用相場とは?種類別料金・ポイントを徹底解説
LMSの導入前にしておくべき4つのこと
LMSの導入前にしておくべきことは、以下の4つです。
- 導入目的を明確にする
- 教材を確認する
- 導入環境を確認する
- 運用・管理のルールを作る
この4つを事前に準備しておくと、スムーズなLMSの導入に繋がります。
導入目的を明確にする
まずLMSの導入目的を明確にしましょう。
導入目的を明確にすることで、自社に必要な教材や機能などを選択する基準を持つことができます。目的を明確にしないままLMSを導入してしまうと期待していた効果を得ることができない場合があるため注意しましょう。
例えば、常に最新情報を受講者に与えるという目的でLMSを導入する場合、教材コンテンツの修正が容易であったり、様々なデバイスで受講できたりするなど、操作性がシンプルであることがLMSを導入する際の重要な判断基準になります。
このように導入目的を明確にすることで、どんなLMSが自社にとって最適かを比較・検討できるようになります。
教材を確認する
LMSを導入する前に教材の確認をしましょう。
確認事項は、以下の通りです。
- 既製品教材の内容
- 教材の質・量
- 教材作成サービスの有無
当然ですが、LMSのサービス提供会社によって用意されている教材が異なります。そのため、どのような内容の教材が既製品として準備されているかを確認しておく必要があります。新入社員に向けたマナー研修教材が充実しているLMSなど、目的に沿った教材があるかどうか、必ず確認をしておきましょう。
また、教材の質や量を確認しておくことも大切です。教材の質や量に不足があった場合、導入後に教材の補充や作成が必要になり、手間が増えてしまいます。
独自教材の作成を希望する場合でも、導入するLMSに作成サービスがあるかどうか確認しておきましょう。教材の作成が容易にできるかどうかも確認しておきたいポイントです。
環境を確認する
LMSを利用する環境の確認も大切になります。
例えば、受講側の環境では以下が挙げられます。
- パソコン
- スマートフォン
- タブレット
導入予定のLMSが上記のような端末で利用できるかどうかによって受講者の学習頻度やモチベーションが変わります。管理側・受講側の視点から利用環境を想定し、最適なLMSを選びましょう。
運用・管理のルールを作る
LMSは導入して終わりではありません。導入後は管理やメンテナンスが必要になります。
管理・メンテナンスを担う部門の設立や責任者をあらかじめ考えておくと、導入後にスムーズに運用することができます。
また、管理・メンテナンスに不安がある場合は、サポート体制が充実しているLMSがおすすめです。サービス提供会社により異なりますが、困ったことが起きた際にすぐにチャットや電話で相談できる環境であれば安心です。
サポートのアクセス方法や活用方法については導入前に確認しておきましょう。
三上 晃潤
基本的には会社が提供する学習コンテンツを見る時間は勤務時間とみなさなくてはいけませんので、当然ながら法定労働時間に業務と学習の時間が収まらなくてはなりません。ルールに関して、実例をお伝えすると、毎月3hは一律残業換算して残業代を支給し、好きな時間で各自学習するよう伝えている企業もあります。
eラーニングとLMSの違いを理解しておこう
以上、eラーニングとLMSの違いについて詳しく解説しました。
要点を以下にまとめます。
- eラーニングとはオンライン学習で、これらを管理するためのシステムがLMS
- LMSとeラーニングシステムは同義語
- LMS導入でこれまでのeラーニングの課題を解決し、効果的な学習を実現できる
- LMSの導入形態は「オンプレミス型」と「クラウド型」がある
- 目的や教材・環境について導入前に確認しておくことが重要
LMSを導入することで学習や教材の管理を効果的・効率的に行うことができます。
一方で、LMSの効果を最大限発揮するためには、導入前にLMSに対する理解を深め、導入目的を明確にしておくことが重要になります。
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導入するメリットは、以下の3つです。
- 導入が簡単
- 簡単にコンテンツを作成・配信・管理できる
- Microsoft365上で稼働する唯一のLMS
LMSの導入する企業にとって最も不安なのが、システムの構築と運用管理ではないでしょうか?
Learn365(旧LMS365)なら新たにサーバーを用意する必要はなく、既存システム(Microsoft365)にインストールをするだけなので簡単に導入できて、セキュリティ面も安心できます。
Word、Excelをはじめ、様々なファイル形式に対応しているため、従来から慣れ親しんだツールでコンテンツの作成や配信、管理ができます。そのため、導入後に操作がわかないという利用者や管理者のストレスは軽減されます。
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