バリュー評価に必要な3要素とは?メリットや導入時の注意点・ルールを紹介

従来、日本の企業では終身雇用制度が一般的とされていた背景から、年功序列の考え方が浸透していました。
しかし、最近では1つの企業に長く勤めることが当たり前ではなくなってきている為、人事評価制度が見直されつつあります。

数ある人事評価制度の中でも特に注目を集めているものの1つとして「バリュー評価」というものがあります。

この記事では、バリュー評価の概要や、バリュー評価を導入するメリット、バリュー評価の導入に必要なツールなどを解説していきます。


バリュー評価とは?

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バリュー評価は、従来の日本企業で一般的に行われてきた人事評価制度とは大きく考え方が異なる制度です。

多くの日本企業では、勤続年数が長くなるほど報酬が上がる年功序列制度や業務成績によって人事評価が行われる成果主義によって人事評価が行われていました。

バリュー評価は従来の評価とは異なり、企業の求める人物像に沿った行動を取ることができているか、という点を基準に従業員を評価する人事評価制度です。

バリュー評価の概要

バリュー評価は、企業が設定する価値観、すなわち「バリュー」の達成度合いで人事評価を行うことです。またバリューとは、企業が従業員に求める行動規範や価値観を指します。

例えば、フリマアプリの運営で業績を伸ばしている株式会社メルカリでは「Go Bold」「All for One」「Be Professional」という3つの行動指針をバリューとして設定しています。
また、ビジネスチャットツールで有名なChatwork株式会社では、「自然体で成果を出す」「いつも心にユーモアを」「オープンマインドでいこう」「ユーザーに笑顔を」「自分ごとで行動する」という5つのバリューを設定しています。

バリュー評価では、このように企業が大切にしている価値観をどれだけ行動として取り入れることができているかによって従業員の人事評価が行われます。

コンピテンシー評価とは異なる

バリュー評価と混同されがちな人事評価制度として、「コンピテンシー評価」があります。
バリュー評価とコンピテンシー評価は、共通点もありますが明確な違いがあります。

コンピテンシー評価は、ハイパフォーマーに共通する行動パターンを評価基準とする人事評価制度です。

バリュー評価とコンピテンシー評価で共通するのは「従業員の行動が評価基準となる」という点です。バリュー評価もコンピテンシー評価も、業績や職能ではなく、従業員の行動に着目して人事評価を行うというところが共通しています。

バリュー評価とコンピテンシー評価で異なるのは評価基準の設定方法です。コンピテンシー評価で基準として設定される行動は、社内で高い業績を達成することができている社員の行動です。
一方、バリュー評価で評価基準となる行動は企業が設定する行動規範や価値観を元に設定されます。

このように、評価基準となる行動の定め方が異なるため、バリュー評価とコンピテンシー評価は明確に異なる人事評価方法です。

コンピテンシーについてはこちらの記事でも解説しておりますので、併せてご確認ください。

参考記事:コンピテンシーとは優秀な人材に共通する能力のこと【研修の方法を解説】

バリュー評価が必要な理由

近年、人事評価制度にバリュー評価を採用する企業が増加しています。なぜバリュー評価が注目を集めているのでしょうか。

バリュー評価が必要とされる背景には、インターネットの普及やデジタル化により、社会的ニーズが急速に変化する社会へと移り変わっていったという社会情勢の変化が関係しています。

特にSNSの普及による影響は大きく、消費者の発信力が強まったことによりニーズが流動的になり、商品やサービスの寿命が短くなりました。

その結果、企業が消費者のニーズに合わせたスピーディーな商品開発を行うために、従業員が企業の価値観を理解し、一丸となって行動することが不可欠となっています。


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バリュー評価に必要な要素

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ここまでバリュー評価の概要や、注目を集めている背景などについて解説してきました。

しかし、バリュー評価は比較的新しい概念であるため、バリュー評価をより理解するためにはバリュー評価に必要な要素を把握しておく必要があります。

バリュー評価に必要な要素は下記3点です。

  • 情意評価
  • 多面評価
  • 相対評価

それぞれの要素について詳しく解説します。

バリュー評価に必要な要素①情意評価

情意評価とは、数値では表しにくい項目を評価することです。

「企業が設定したバリューを意識して行動する」という評価基準は、数値化しにくい基準であるため、バリュー評価には情意評価の要素が含まれています。

多くの企業では、バリュー評価のみを単体で人事評価として採用するのではなく、業績に対する評価などと合わせて、人事評価の一部として組み込まれることが多いです。

バリュー評価に必要な要素②多面評価

多面評価は、人事評価を複数人で評価する方法です。

バリュー評価では、数値で表すことが困難なものを評価するため、多面評価が重要になります。複数人で評価を行うことにより、従業員は自分自身の行動を客観的に見ることができるため、課題を克服するきっかけを得ることができます。
また多面評価では上司だけの評価ではなく、同僚や部下からの評価も参考にするため、評価が公平公正になりやすいという特徴もあります。

バリュー評価に必要な要素③相対評価

相対評価は、グループ内や同じ職位の中で他の従業員と比較して評価をする方法です。

他の従業員と比較して評価が行われることにより、従業員は自分の行動や考え方がどの程度企業の価値観や行動規範に沿っているのかを判断することができます。

相対評価は従業員同士の比較となるため、トラブルを回避するために従業員に納得感を持たせることが重要となります。
そこで、企業によっては明確に達成度を点数化することで評価に説得力を持たせるという方法を採用しているところもあります。

バリュー評価を導入する3つのメリット

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バリュー評価には、情意評価、多面評価、相対評価の3つの要素があり、従来の人事評価制度とは異なった側面があることを紹介しました。

次に、バリュー評価を導入する3つのメリットについて解説します。

  • 価値観が合致する
  • 組織力が強化される
  • 従業員のエンゲージメントが向上する

バリュー評価のメリット①:価値観が合致する

バリュー評価を導入するメリットの1つ目は、従業員の価値観が合致するということです。

価値観の合致は、従業員同士が協力して仕事を進めていくために不可欠な要素です。

バリュー評価は、組織の価値観を明確に定義しそれを従業員に理解させることで、目標を共有することができます。

共通の目標を持つことで、従業員が同じ方向を向いて仕事を進めることができるため、お互いに協力し合って成果を上げられるようになります。

バリュー評価のメリット②:組織力が強化される

バリュー評価のメリット2つ目は、組織力が強化されるということです。

バリュー評価を導入し従業員が企業のバリューを体得していくなかで、従業員同士の価値観が合致し、組織力が強化されます。その結果、企業と従業員の間での方向性の相違が是正されていき、業務の効率や質の向上が期待できます。

結果として、ニーズの変化が早い現在のビジネスシーンでも価値のある製品やサービスを提供することのできる企業基盤ができあがります。

バリュー評価のメリット③:従業員のエンゲージメントが向上する

バリュー評価のメリット3つ目は、従業員のエンゲージメントが向上するということです。

従業員が企業の価値観を理解することで、企業に対する信頼度や仕事のモチベーションが向上します。その結果従業員のモチベーションが上がり、より積極的に仕事に取り組むことができます。

従業員のエンゲージメントが向上することで、組織は従業員が積極的に仕事に取り組むため、生産性が向上し、組織全体のパフォーマンスも向上することが期待できます。

また、従業員のエンゲージメントが向上することにより、従業員の離職率低下も期待できます。

バリュー評価のルール

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バリュー評価を効果的に実施するためには、基本的なルールに従って運用を続ける必要があります。
従業員にとって、人事評価は仕事に対するモチベーションを左右する重要な要素です。

従業員が納得できるような人事評価を行うために、どのようなルールに従ってバリュー評価を実施すべきなのか、重要なポイントを解説します。

バリュー評価のルール①評価項目を決める

バリュー評価をするためには、まずは評価項目を設定する必要があります。
評価項目は、自社のバリューに沿って、具体的な行動を評価できるよう項目を設定しましょう。

バリュー評価において、評価基準となる例としては「挑戦意欲のある行動をとる」や「顧客第一の対応をとる」などが挙げられます。

あくまでもこれは一例で、企業の価値観に合致したバリューを設定することが重要です。

バリュー評価のルール②評価方法を設定する

評価項目が決まったら、次に評価の方法を設定しましょう。

バリュー評価は情意評価の側面があるため数値化が難しいという特徴がありますが、バリューの達成度合いを段階にわけて評価を行うことは可能です。

例えば、1つのバリューを5段階で評価することで、どの程度バリューに沿った行動ができているかがわかりやすくなります。ただ、バリューの評価は数値化が難しいため、段階評価だけでなくコメントによる評価も必ず行うように注意しましょう。

バリュー評価のルール③評価基準を統一する

バリュー評価は多面評価となることから評価者が定まらず、基準が不安定になりやすいという特徴があります。

複数の評価者による評価を行うことで、結果として公平さが保たれるという側面もありますが、人によっては評価が正当性に欠けると感じてしまうこともあるでしょう。

そこで、従業員全員が納得して人事評価を受けられるようにするために、評価基準を統一する必要があります。

バリューに沿った行動をチェックするポイントをいくつか設定し、客観的に評価できるような基準を定めるよう心がけましょう。

バリュー評価の3つの注意点

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バリュー評価は組織としての一体感が強化され、従業員のエンゲージメント向上が期待できるなどのメリットがある人事評価制度として注目されています。

その一方で、従来の評価制度と異なる考え方をするため評価の難しさを感じやすかったり、導入のハードルが高かったりするという課題があります。

バリュー評価を導入する際に知っておかなければならない注意点を解説いたします。

バリュー評価の注意点①:定量的な評価ができない

バリュー評価は、従業員が組織の価値観を持って仕事をしているかどうかを評価するための方法であり、評価に客観性を持たせるのが難しいという特徴があります。

なぜなら、「行動が規範に沿っているか」という評価を下す際に評価者の主観が入ってしまうことがあるからです。

評価者の価値観が異なる場合、下された評価に対して評価された従業員が不満を抱く可能性が高くなります。

このような課題を解消するためには多面評価を実施することで、できるだけ客観的な評価に近づけ、評価の納得感を高めることが重要です。

また、評価者の主観を減らすためには、評価のガイドラインを明確にすることや、評価者のトレーニングを行うという方法もあります。

バリュー評価の注意点②:評価の納得が得られにくい

人事評価は報酬などに反映することから、納得感のある評価を行うことが重要です。
しかし、バリュー評価は多くの社員にとって新しい概念であるため、正確に理解できていない社員も存在してしまいます。

社員の十分な理解を得られないままバリュー制度の運用を続けると、社員からの不満につながり離職率が高まったり、パフォーマンスが低下してしまう恐れがあります。

企業にとっても従業員にとっても有意義なバリュー評価を行うためには、評価基準となるバリューを適切に設定することや、バリューおよびバリュー評価のメリットについて周知しておくことが重要です。

バリュー評価の注意点③:導入と浸透に時間がかかる

バリュー評価を導入するためには、組織の価値観を明確にするためのバリューを作成することが必要です。
そしてそのバリューを浸透させ、評価基準として機能させることで、従業員が共通の目標を共有し、協力し合って仕事を進めることができるようになります。

従業員の間でバリューへの理解を深めるためには変わらない1つの基準を浸透させることが重要なので、バリューの作成には慎重に取り組む必要があります。

その結果、バリュー評価に意欲的であっても、導入のハードルやコストが高く、なかなか導入に踏み込めないという事態に陥る企業もあります。バリュー評価の導入を進めるためには、バリュー評価によってどの程度企業の業績が向上するかをシミュレーションすることが有効です。

バリュー評価はLMSと相性が良い

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バリュー評価では、従業員がそれぞれ自身の行動パターンを企業の設定するバリューに合致させるための教育を提供する必要があります。
企業のバリューは単純に説明できるものではないことが多く、ある程度長期間に渡って少しずつ考え方を浸透させる必要があります。

そこでバリュー評価を効率的に実施するためには、LMSの活用が効果的です。

ここからは、バリュー評価と相性の良いLMSについて詳しく解説していきます。

LMSとは?

LMSとはeラーニングをサポートし、学習を円滑に進めるためのシステムのことです。eラーニングは、企業の研修や教育現場で用いられているオンライン上で学習を実施する学習形態を指します。

いつでもどこでも学習を進めることができるというメリットがある一方で、コンテンツの管理・修正やユーザー情報の管理が難しいといった課題がありました。

LMSで教材やユーザー情報を管理することで、安全かつ便利にeラーニング教材を提供することが可能になりました。

LMSにはさまざまな製品・サービスがあり、細かな仕様や機能は異なりますが、基本的な機能として教材管理機能と学習管理機能があります。

ナレッジの発信

LMSには、掲示板機能や社内SNS機能など、従業員同士でナレッジの発信や共有を行うことができる機能があります。

従業員がLMSを通じて掲示板機能やSNS機能を活用することで、従業員同士のコミュニケーションが活発化し、それぞれの意見や考え方を可視化することができます。

ナレッジを発信したり共有したりすることにより、数値化ができないため評価が難しい情意評価や従業員同士を比較することで評価をする相対評価を行うことができます。

関連記事:ナレッジ共有とは?おすすめのマネジメントツールや選び方のポイントを紹介

受講者の学習管理

LMSには受講者の学習進捗状況を確認することができる機能「学習管理機能」がついていることが多く、学習の進捗状況からバリューの達成度合いなどを評価することができます。

ただし、学習管理機能でバリュー評価に用いるのは学習意欲や態度などであり、理解度やテストの点数ではないことに注意しなければなりません。
バリュー評価はあくまでも、従業員の行動が企業のバリューに合致しているかどうかを評価する評価方法であって、業績やスキルが評価対象ではないためです。

LMSは何を選べば良い?

LMSには多くの製品があり、それぞれ特徴やスペックが異なります。
数ある製品のなかから、バリュー評価の導入に合わせてLMSを選ぶなら、LMS365がおすすめです。

LMS365を推奨する大きな理由の1つにMicrosoft Teamsとの連携ができる点が挙げられます。
バリュー評価は数値的な評価が難しいため、コミュニケーションが評価の基盤となります。
そのため、コミュニケーションツールとの連携のとりやすさが重要となります。

Microsoft Teamsはビジネスチャットやオンライン会議、ファイル共有などを行うことができる多機能なビジネスコミュニケーションツールです。
Microsoft TeamsはOffice365など、ユーザーの多いツールを開発しているMicrosoftが運営しているため、社外の人と連絡をとる場合でも導入しやすく、ビジネスコミュニケーションツールとして評価されています。

LMS365はMicrosoft Teamsと連携することのできるeラーニングシステムなので、導入や運用をスムーズに行いやすく、バリュー評価の際に導入するLMSとしておすすめです。

参考記事:Microsoft Teamsでバーチャル・ トレーニングを強化・拡充する方法

バリュー評価を導入しよう

この記事では、バリュー評価の概要や、メリット、導入の際の注意点、バリュー評価導入に役立つツールであるLMSなどについて解説しました。

バリュー評価は、企業の価値観や行動規範に沿った行動を取れているかどうかによって評価する人事評価制度のことで、組織力の向上や従業員のエンゲージメント向上が期待されることから、近年注目を集めています。

バリュー評価は比較的新しい人事評価制度であることや、評価基準を周知するのにある程度時間がかかることから、導入するためには教育ツールを使った研修が必要とされます。

また、情意評価や多面評価の側面を持つことから、評価には密なコミュニケーションが重要となります。そこで、バリュー評価を導入する際にはLMSを活用するのがおすすめです。

組織力を高め、企業としての成長を実現するために、LMSを活用したバリュー評価の実施を検討してみてはいかがでしょうか。

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導入するメリットは、以下の3つです。

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監修者

三上 晃潤

三上 晃潤(株式会社ソフィア 事業開発部 リーダー)

人事部、広報部、経営企画部、情報システム部を中心に、eラーニングシステムを活用した課題解決の提案やLMS365の導入支援を行う。最大手コンビニチェーンや最大手商社等の窓口を担当し、年間25,000ライセンス以上の販売実績を持つ。

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